FF14

シドとオメガとアルファと夫

その日、日付も変わろうかという深夜 ——— 。
夫は男泣きしていた。

 

待望のパッチ4.4が実装され、まさに「ゲームが俺を待っている!」状態であった夫。かき込むように夕食を平らげ、ほんの小一時間ほど前に、小躍りしながらレイドに潜っていったはずだったのに……。

 

「アルファ……お前ってやつは……」

 

ティッシュの箱を抱え、グジグジと鼻をかんでいる。
アルファの健気さに心を打たれ、涙を堪えきれなかったというところか。

 

 

隣でストーリーを見ていただけの嫁でさえ、鼻水垂らしながらガン泣きしてしまうような展開なのだから、プレイしていた当の本人が受けた感動の深さたるや、察するに余りあるだろう。

 

 

ティッシュの小山を築きながら、夫がポツリと言った。

 

「何でこんなにいい話、思いつけるんだろうな……すごいな……」

「ほんとだねー。最近のお話は、泣かされてばっかだねー」

 

しかも、楽しいお話はとことん楽しい。ヒルディはコミカル担当かと思いきや、イシュガルド編ではホロリとさせられた。次はどんなストーリーが自分たちを待っているのか。それを考えるだけでワクワクするなんて、ちょっと凄すぎるぞ、FF14。

 

 

「あああああーっ! 旅に出ちゃうのかぁー……さびじいよぅ……」

「いろんなものが見たいって思うのも、アルファに心があるからこそなんだぜ?」

「わかってるよぅ……わかってるけどさぁ……」

 

つくづく残念そうな嫁。
ウエッジに引けを取らないローテンションである。

 

 

「ホントそれ! タダでモノくれる人、だいたい悪いヤツだからッ!」

 

ウエッジのアドバイスを受け、嫁の老婆心が炸裂。
嫁のお得意の謎理論だが、あながち間違っていないっぽいから困る。

 

「ほら、笑って送りだそうって、な? シドたちも笑顔なんだからさ」

「……うん」

 

アルファ編の終わりは、少しだけ涙の味がする ——— 旅立ちの〝始まり〟だった。

 

 

 

 

それから、少しして——— 。
未知の採掘で訪れた、ドラヴァニア雲海にて。

 

 

「あ! アルファだ! ほら、あそこにいる! オメガも!」

「おおー! ほんとだ! ちゃんと旅してるんだねぇ……」

「よかった、元気でやってるみたいだ。……安心した」

 

ほっとした口調で呟いた夫は、アルファの傍に座り込み、スクショを撮影しはじめた。アルファ、何見てるんだろ? などと言いながら、念入りにアングルを調整している夫。その楽しそうな横顔に、嫁は「明日の晩ご飯は、ソラの好物にしてあげよっと」と思うのだった。

 

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