FF14

サベネア異変

 

その晩、マケボの前で佇んでいた嫁は、まさにこんな顔(↑)をしていた。
もちろん画面のこちら側で、だが。

 

「ちょ……。ウソでしょ!? 45万って……えっ?」

 

自分が見たものが、たまさか目の錯覚だったかとでもいうかのように、もういちど検索ワードを入力し、再度サーチ。そうしてふたたびヒットした『サベネアの野菜』の値段を、今度はさきほどよりも注意深く確認する。

 

 

お値段、450,000ギル(1個)。
見間違いでも、目の錯覚でもない。
正真正銘、現在(2019年1月中旬)の相場である。

 

「ウソじゃなかったぁ———! 待って、待ってよ! ついこないだ買ったときは、8万円(ギル)ぐらいだったじゃない! ねっ?」

 

じたばたしながら、隣にいる夫に同意を求める。
ぶんぶん振り回されている箱コンがちょっぴり可哀相だ。

 

「そのときはそのとき。相場ってそんなもんだよ」

「……ぐぬぬ」

 

サベネアの野菜が高騰している理由はひとつ。
青魔道士のレベリングに伴い、バディチョコボの経験値もうなぎ登りで入ったため、ランクの上限の解放が求められたからだ。

 

そうなのである。エオルゼアは今まさに青魔道士時代! 右を向いても、左を向いても、青魔道士でいっぱい。下手な鉄砲でも一発撃てば、青魔道士の2、3人にヒットするんじゃないかというくらい、新生エリアはレベリング中の青魔道士で溢れかえっていた。リトルアラミゴの周辺では、ちょっと大きいサボテンダーが根絶やしの憂き目に遭い、リポップが間に合わない状況である。

 

「今はみんな同じ理由で必要としてるから、仕方ないんじゃない?」

「…………それはわかってるよ。わかってるけどさぁ……」

 

夫の言うことはもっともである。ぐうの音も出ない正論である。しかし嫁は、そういう台詞が聞きたかったわけではないのだ。嫁にだって、簡単な相場の仕組みくらいわかっている。これが、いわゆる〝プレミアがついた状態〟なのだろうと。嫁は、ただ単に「そうだねぇ、くっそ高いねぇ」と、夫に同意してほしかっただけなのだ。

 

女心(?)がわからない夫と、あまりに正しくも非情な相場。
二つのままならない相手に、嫁はギブアップした。

 

「もういい! わかった! 育てるよ、育てればいいんでしょ!」

 

言うが早いか、嫁は園芸師にクラスチェンジする。相場がなんぼのもんじゃい! 量産じゃ! 量産して、ひと山もうけたるわい! と意味不明なテンションで吐き捨てて向かった先は、西ザナラーンのシルバーバザー付近だった。

 

 

「まーじーかー……。たった一個しか取れないとはー……」

 

皆さんご存じ、ザナラーンソイルG3。一日1個しか取れない(ETにおいて)、めんどくさい部類に入るであろう、畑用の土壌である。お目当てのブツが、一度の採集でたった1個しか取れないという非情に、嫁はまたもや唸らされる羽目に。

 

「くっそー! サベネアの野菜売ってひと山あてて、大富豪になるっていう野望が、早くも打ち砕かれたー!」

 

あれ? バディランクの上限突破は?
当初の目的がどこかに消し飛んでいるのは、嫁にはよくあることである。
見かねて、夫がアドバイスをした。

 

「クラスが採掘師なら、リテイナーも取ってくるよ」

「えっ! ホント!?」

「ホントホント。あと、詩学が余ってるなら交換もできる」

「あ——— 余ってます! 余ってますぅ……!」

「イディルシャイアのベルタナさんね。謎の原石と交換してくれるから」

「べるたな……なぞの……げんせき、と。わかった!」

 

いそいそとメモを取る嫁。全部ひらがななのはご愛敬だ。

 

「8個くらいならすぐだよ」

「ありがとー! ソラ! 頼りになるぅー!」

 

先ほどの、夫へのちょっとした不満もどこへやら。嫁は足取りも軽やかに、ご機嫌な様子でイディルシャイアに向かったのだった。

 

 

そんなこんなで6日後 ————。
畑には、収穫の時期を知らせるキラキラの作物が。

 

 

今回は、アーモンドの種とマンドレイクの種をかけ合わせ、ニメーヤリリーの種を入手した。次回はカラッカの種とアーモンドの種をかけ合わせ、シルキスの種を入手する予定。そうして出来た2種類の種をかけ合わせ、いよいよサベネアの種手に入れる ——— というのが、嫁の描いた青写真である。

 

「さてと、じゃまた、アーモンドの種を取ってくるかなー♪」

「おう。行ってらー」

「待ってて、サベネアちゃん! 速効で栽培して、売りさばいてやんよー! ふははー!」

 

嫁は知らなかった。

 

シルキスの種を入手するのに、5日。サベネアの種を入手するのに、10日。その後、収穫したサベネアの種を蒔き、サベネアの野菜が入手できるようになるのに、さらに10日もの日にちが必要だということを ——— 。

 

取らぬ狸の皮にはしゃぐ、この時の嫁は、知らなかったのだ………。

 

 

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